ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、初期宇宙で異常に成熟した銀河を発見しました。この観測結果は、現在の標準的な宇宙理論では説明できません。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
2021年12月に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、2022年1月に地球から150万km離れた軌道に到達し、2月には最初の撮影画像が公開されました。
出典:https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/Webb/Webb_factsheet
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主な任務は、宇宙誕生直後の初期宇宙に存在する星や銀河を観測することです。微弱な赤外線を観測するために、地球から150万km、つまり、月までの距離の約4倍も離れた軌道に投入されました。また、望遠鏡の主鏡の口径は約6.5mもあり、これはハッブル宇宙望遠鏡の口径2.4m の 2.5倍です。
異常に成熟した銀河
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、従来よりも微弱な赤外線を高い解像度で観測できるため、従来よりも精密な宇宙の画像や、従来よりも遠方の宇宙初期の銀河の画像など、さまざまな観測に成功しています。
次の画像は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した初期宇宙の銀河の画像です。
出典:https://www.nasa.gov/universe/nasas-webb-draws-back-curtain-on-universes-early-galaxies/
初期宇宙の銀河
画像中央の上側の銀河は、ビッグバンから 4億5千万年後の銀河であり、画像中央下側の銀河は、ビッグバンから 3億5千万年後の銀河です。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が発見した初期宇宙の銀河は、標準理論に基づく予想に反して、非常に数が多く、大きなサイズで、極めて明るく、異常に成熟していたことが分かりました。つまり、ビッグバンからせいぜい 5億年という時間しか経過していない初期宇宙においては、銀河が十分に発達する時間はないと思われていたにもかかわらず、数多くの、大きくて、明るく、成熟した銀河が存在していたのです。
これは、現在の標準的な宇宙理論では説明できない観測事実であり、標準理論の変更や新たな仮説が求められています。