重力の原因は時空のゆがみ

まず、重力の原因について考えてみます。

ニュートン力学では、重力は万有引力の法則で表されます。質量$m_{1}$ の物体と質量$m_{2}$ の物体の間に生じる万有引力$(F)$ は、次の式になります。

$$F=G\frac{m_{1}m_{2}}{r^{2}}$$

ここで、$G$ は重力定数、$r$ は物体間の距離

万有引力は、地球とリンゴの間に引力が働くように、物体と物体がお互いに引き合う引力であると解釈することができます。

しかし、次のように解釈することもできます。物体は重力ポテンシャルからなる重力場を形成する。そして、その重力場に存在する別の物体は、重力場から重力を感じるのだ、と。地球とリンゴの例について考えてみましょう。地球の質量を$M$、リンゴの質量を$m$ とすると、万有引力の法則は、次のように変形することができます。

$$F=G\frac{Mm}{r^{2}}=(\frac{GM}{r^{2}})\cdot m$$

この式は、地球が$(\frac{GM}{r^2})$ という重力ポテンシャルからなる重力場を形成し、この重力場の中に存在するリンゴが$(\frac{GM}{r^2})\cdot m$ という重力を感じている、と解釈できます。そして、アインシュタインの相対性理論によれば、重力場は時空(3次元空間+時間)のゆがみから生じていると考えられています。

時空のゆがみによって重力が生じる様子

なお、地球とリンゴの立場は対等なので、立場を入れ替えて考えることも可能です。この場合は、リンゴがリンゴの重力ポテンシャルからなる重力場を形成し、この重力場の中にある地球がリンゴの重力を感じることになります。

相対性理論では、ある物体が存在すると、その質量に応じて時空のゆがみが生じ、このゆがんだ時空の中に存在する別の物体は、自分の質量に応じた重力を感じるのです。つまり、「重力の原因は時空のゆがみである」と言うことができます。