なぜ「L=T+V」とすべきか?

ラグランジアン($L$)は、物体が運動するときに常にラグランジアンが変化しないもの($ΔL=0$)として数学的に変形すれば、運動方程式を導出することができます。つまり、物体が運動することによって位置エネルギー($T$)が減少すれば、その減少したエネルギーはそのまま運動エネルギーに変化し、運動エネルギー($V$)が増加します。その反対に、位置エネルギーが増加すれば、運動エネルギーは減少します。

ということは、位置エネルギーと運動エネルギーを合わせた全体のエネルギーは変化しないことになります。これはエネルギー保存則に他なりません。

エネルギー保存則であれば、「$L=T-V$」ではなく、「$L=T+V$」として、ラグランジアンが変化しない($ΔL=0$)とすればよいはずです。位置エネルギー($T$)の減少量($ΔT$:負)は運動エネルギー($V$)の増加量($ΔV$:正)に等しく、
$$ΔL=ΔT+ΔV=負+正=ゼロ$$

位置エネルギーの増加分($ΔT$:正)は運動エネルギーの減少分($ΔV$:負)に等しいからです。
$$ΔL=ΔT+ΔV=正+負=ゼロ$$