区別できないから同じもの?

アインシュタインは、屋根から落ちる人は重力を感じないという事実から、万有引力による重力と、加速による慣性力は同じものであるというアイデアを思いつきました。このアイデアは、重力と慣性力を同じものと考えることから等価原理と呼ばれています。

例えば、ロケットが地上の発射台に設置されているとき、ロケットの中の宇宙飛行士は地球の重力を感じています。一方、宇宙空間でロケットが加速を続けているとき、ロケットの中の宇宙飛行士は加速による慣性力を感じます。

ロケットの窓から外の景色が見えないとすれば、宇宙飛行士にとって、自分が感じている力が重力によるものなのか、慣性力によるものなのかは区別することができません。区別できないなら、重力と慣性力は同じものであると考えよう、というのが等価原理です。

地球上のロケットが重力を感じ、加速中のロケットが慣性力を感じる様子を示した図

しかし、区別できないから同じものと考えるのは、言わば結果論のようなものではないでしょうか。結果的に区別できないから重力と慣性力は同じものだ、という論理です。

重力は、地球とリンゴの間に引力が生じるように、二つの物体の間に生じる力です。慣性力は、静止している物体を動かすときや、動いている物体を静止させるときに、物体が抵抗する力です。ですから、一見すると重力を生じさせる原因と、慣性力を生じさせる原因は異なっているように思われます。

もし、等価原理が正しくて、重力と慣性力が同じものであるならば、重力の原因と、慣性力の原因は、きっと同じものなのではないでしょうか?

ということで、次に重力の原因と、慣性力の原因について考えてみます。